「無濾過生原酒」とは、法律や国の「清酒の製法品質表示基準」で定められた特定名称酒とは異なり、蔵元の慣習や製法の組み合わせを表す用語です。その定義は、無濾過・生・原酒の3つの製造工程をすべて行わない清酒を指します。まず無濾過(むろか)では、通常活性炭やフィルターを使って取り除く微細な不純物や色素、香味成分をあえて濾過せず、酒本来のわずかに黄色みがかった色合いや複雑な旨味成分をそのまま残します。次に生(なま)では、一般的に貯蔵前と出荷前に行う火入れ(加熱殺菌)を行わず、酵素や酵母が生きたまま残るため、フレッシュで発泡感のある若々しい風味を楽しめます。そして原酒(げんしゅ)では、搾った後に通常行う加水を行わず、搾りたての高いアルコール度数(17〜20度程度)と濃厚で力強い味わいを維持します。この3つの特徴が組み合わさることで、「無濾過生原酒」は、フレッシュさと濃厚さ、個性豊かな味わいを同時に楽しめる日本酒として、酒本来の力強さを存分に味わえる一本となっています。
無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)とは、日本酒の製造工程において一般的に行われる「濾過」「火入れ(加熱殺菌)」「加水」という3つの工程をあえて行わず、酒本来の力強さと個性をそのまま味わえる特別な日本酒です。
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無濾過 … 活性炭などによる濾過を行わず、香りや旨味成分をそのまま残すことで、濃厚でフレッシュな味わいが楽しめます。
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生酒 … 火入れをしていないため、酵素が生きており、みずみずしい香りとフレッシュ感が特徴です。
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原酒 … 加水調整をしていないため、しっかりとしたアルコール感と濃醇な飲みごたえがあります。
これらの要素が重なり合うことで、まるでタンクから汲み出したばかりのような、鮮烈で個性豊かな味わいを楽しむことができます。
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無濾過生原酒の定義
無濾過生原酒の歴史
「無濾過生原酒」という言葉が、一つの製法スタイルとして確立し、一般に広く認知されるようになったのは、1990年代後半から2000年代初頭にかけてのことです。この潮流を牽引した代表的な銘柄として、福島県の「飛露喜」がしばしば挙げられます。当時、酒造り未経験だった廣木酒造本店の蔵元が、自身の理想の酒を造るために無濾過生原酒の手法を採用したことが、愛飲家の間で話題となり、「無濾過生原酒」というジャンルを確立する契機となりました。その後、多くの蔵元がこれに追随し、消費者の間でも搾りたてのフレッシュで力強い味わいを求める動きが活発化しました。現在では、「無濾過生原酒」は日本酒の多様性を象徴する重要なスタイルの一つとして、確固たる地位を築いています。
無濾過生原酒のおすすめの飲み方
注意点に気をつけていれば無濾過生原酒も多彩な楽しみ方ができます。低めの温度でたしなむのが人気の飲み方です。冷蔵庫から出してすぐの原酒をそのままを飲むと生酒特有のフレッシュな味わいを感じやすいでしょう。何も薄めずに飲むお酒は香りも強く、飲む前から楽しむことができます。日本酒はフルーティーな香りが特徴だと言われ、それはリンゴやバナナのような香りだと言われますが、生原酒になると、メロンやマスカットのようなどこか南国を思わせるフルーツの香りに徐々に変化していきます。 ロックで楽しむ良さもあります。オンザロックは日本酒を飲みなれていない人にもおすすめしやすい飲み方です。氷が溶けて、度数が薄まっていくごとに味がだんだんまろやかになっていく変化を楽しめます。甘さも抑えられ爽やかな飲み心地で、暑い夏には気分までもすっきりします。 原酒は度数が高めなので、あまりお酒に強くない人は水や炭酸水で割って飲むと良いでしょう。度数を下げつつも薄めすぎて日本酒の良さをかき消してしまわない黄金比率は水2:酒8です。度数を下げることで悪酔いの確率も減らすことができます。せっかくこだわりに磨きをかけて作られたお酒なので水質にもこだわりましょう。軟水は味や香りに影響を与えることがありませんが、硬水に含まれるミネラルは酵母の栄養になるため味が変化してしまう可能性があります。
無濾過生原酒の開封後の飲み頃
開封直後は、華やかな香りとフレッシュな口当たりを楽しめます。 1週間ほど経つと香りが落ち着き、味わいにコクと深みが出てきます。 お好みのタイミングで、変化する味わいをお楽しみください。
無濾過生原酒の保存方法
無濾過生原酒は酵素が生きているため、保存方法には注意が必要です。ポイントは 「光」と「温度」 の2つです。
◯光を避ける…日本酒は紫外線などの光に非常に弱く、当たると必ず劣化が進みます。人間でいえば、強い日差しを浴び続けるとしわやしみの原因になるようなものです。 例えば、無濾過生原酒を持ち運ぶ際は、直射日光を避けるよう注意しましょう。
◯冷蔵庫で保管する…酵素が元気に働きすぎると酒質が変わってしまうため、温度管理も重要です。人間が暑さで体調を崩すように、お酒も高温では香りや味が大きく変化してしまいます。 基本は冷蔵庫で保管し、「10度以下」を目安にしてください。冷蔵庫は温度を一定に保てるうえ、光も遮断できるため最適な保存場所です。