かつおのたたきとは?

「かつおのたたき」は、高知県を代表する郷土料理であり、刺身料理の一種です。カツオは同県の県魚として古くから親しまれ、もともとは漁師が船上で鮮度の落ちたカツオを工夫して食べた“まかない”が起源と伝えられています。保存技術が未発達だった時代、香ばしく炙ることで日持ちを良くしつつ旨みを引き出す調理法が発展しました。
「たたき」という名称の由来には諸説ありますが、有力なのは炙った身に塩や醤油をかけ、包丁の背や手で軽く叩いて味をなじませた調理法からきたとする説です。調味料が貴重だった時代に少量でも全体に風味を行き渡らせるための工夫だったと考えられています。かつては身を細かく叩いて薬味と和える「アジのたたき」に近い調理法も存在したとされますが、現在の「かつおのたたき」とは異なるものです。


1 件の商品

1 件の商品

かつおのたたきの調理法

下処理

かつおのたたきを美味しく作るには、事前の下処理が肝心です。まず、サクの血合いを取り除き、塩を振って10分ほど置き、臭みの元となる水分を脱水します。その後、水分を拭き取り、焼く直前まで冷蔵庫で冷やします。これが、炙る際に中心をレアに保つための重要な工程です。

炙り(焼き切り)

鰹の表面だけを強火で短時間炙ります。この工程は「焼き切り」と呼ばれ、皮は香ばしく、身の表面は火が通り、中心部は生の赤身のまま残ります。伝統的には燃え盛る藁や松葉を使って高温で一気に炙りますが、ガスバーナーやフライパンでも代用できます。

冷却

炙った直後の鰹を氷水に入れて急激に冷やします。これにより、余熱で内部まで火が通るのを防ぎ、鮮度と赤身の色を保ちながら身を引き締めます。高知県の一部の伝統では、氷水を使わず自然に冷ます方法もあります。

切り付け

冷却後は水気をしっかり拭き取り、刺身よりも厚めに切り分けます。これが鰹のたたきの特徴です。

仕上げ

切り分けた鰹に、ニンニク、玉ねぎ、ネギ、ミョウガ、大葉などの薬味を添えます。ポン酢や醤油ベースのタレをかけるのが一般的です。 「たたき」という名前の通り、タレや塩をかけた後に包丁の峰や手のひらで軽く叩いて味をなじませる方法もあります。さらに、本場高知ではタレを使わず、塩だけで仕上げる「塩たたき」も代表的な食べ方です。

かつおのたたきと組み合わせて楽しみたい日本酒

かつおは冬の一時期を除き一年を通して味わえますが、かつおのたたきに合う日本酒は特有の強い旨味や鉄分の風味、表面の香ばしさに加え、薬味(ニンニク・生姜)やタレの酸味とのバランスを考えて選ぶのが基本です。なかでも特に相性が良いのは、次の3つのタイプです。 鰹のたたきは冷やして提供されることが多いため、日本酒も常温または冷酒で合わせるのが一般的ですが、なかには熱燗のほうがおすすめな組み合わせもあります。

キレ重視なら辛口・純米酒タイプ

炙った鰹の香ばしさと濃厚な旨味には、純米酒の辛口タイプがよく合います。しっかりした米の風味とキレの良さが、鰹の脂や薬味の強い香りをすっきりと洗い流し、次の一口をより美味しく感じさせてくれるでしょう。この「リセット効果」こそが、辛口純米酒の最大の強みです。辛口であるため、甘口の日本酒にありがちな「鰹の風味に甘さが浮いてしまう」という現象が起こらないため特にお勧めの組み合わせです。

吟醸酒・大吟醸酒タイプなら「旨味と酸の強さ」で選ぶ

吟醸酒や大吟醸酒の華やかな香りは、ミョウガや大葉といった爽やかな薬味と調和し、洗練された味わいを引き立てます。 実は一般的には吟醸酒の風味はかつおのたたきの薬味の強い香りと相性が悪いとされていますが、吟醸酒でも、火入れ(加熱処理)を経て秋まで熟成させた「ひやおろし」などは、香りが落ち着き、まろやかさが増します。これにより、戻り鰹などの濃厚な脂との相性が良くなるためおすすめです。

薬味やポン酢とマッチする旨口・山廃生酛仕込み

旨口の酒は、米の厚みある旨味を備え、山廃仕込みは酵母を育てる際に自然の力を利用するため、酒に米の旨味が非常に濃く力強い味わいになります。この力強さが、鰹の持つ濃厚な旨味や鉄分の風味、そして藁焼きの燻製香といった強い個性にしっかりと寄り添い、酒が料理に負けてしまうことがありません。 旨口の純米酒や生酛は、温度を上げることで酸味と旨味がより際立ちます。たたきを「ぬる燗」と合わせるとより一層晩酌が楽しめるでしょう。 ただし、甘さが強すぎてべたつくものは避けるべきです。米の旨味が濃い日本酒を選ぶのがポイントです。